体験修行の感想文・体験談
20代 体験修行 男性
天光寺にいざ参らん。滝行という自然の力を味わうために、この地へやってきた。靴を脱ぎ、寺内の空気を深く吸うと重々しくも軽やかな何かが身にしみたのを感じた。正直なところ、今までの人生において宗教を意識したことはほとんどなかった。心が闇で包まれ、絶望を見た時も、自分自身の中で自分自身を悟り、宗教に救いの手を差し伸べたことはなかった。しかし、これからは違うだろう。自分の中と見つめ合う為に、鼻から吸って口から吐く。へその下の丹田を意識して無の境地へと招かれる。場所を選ばずにわが身を癒すことができる。
この場所では、短い期間ながらに多くのことを学ぶことができた。何よりも自分自身の忍耐力、精神力、集中力と向き合うことができた。人生において幾度となく自分を見つめ直す機会があったが、ここまで自分の内面と強制的に向き合う場はなかったであろう。言語化することが難しく思うこの感情や得たものは確実に今後の糧になっている。
こんなに礼をしたこともないだろう。礼をして走り、礼をして走る。山を登り岩を渡り滝を浴びた。経を唱え、手を合わし、他のため己のために祈った。滝の力には圧倒された。あまりにも冷たい水には心身の源ごと吸い取られるような感覚になった。お経を唱えても、何度唱えても身体は力を放出するばかりで、今にも意識が飛びそうになるのを何とかこらえた。下山し、寺に着くころには頭にも響くような痛みが幾度となく力を奪っていった。
本日も滝行に行く。震える身体を抱きしめて、自分自身を見つめ直す究極の時間になる。自分がいない世界に一歩足を踏み入れたような不思議な感覚になるであろう。

